
夜遅くまで起きていて、朝起きられないなど、起立性調節障害の症状は、その病気について理解がない人にとっては「怠け」と受け取られることがほとんどでしょう。
「気持ちの持ち様で治る」と安易にかけられるアドバイスが、余計にストレスになり、症状を悪化させることも考えられます。
起立性調節障害は、体の病気であることを、周りの人たちに理解してもらえるよう対応しなければいけません。
親と子のズレを正して不安をやわらげましょう
深夜までテレビをみたり、携帯やゲームをいじっていて、なかなか寝就かない子ども。
朝は、何度起こしても起き上がれません。
遅刻や欠席ばかりが増えて、また夕方になると元気になる。
このような毎日が続けば、たとえ頭痛や腹痛などを訴えてきても、親としては、仮病のよう思えてしまうでしょう。
ついイライラして、「毎日ダラダラして!」「怠けてばっかり!」と怒鳴ったり、しつこく注意したりしてしまいます。
起立性調節障害の子どもの立場からいえば、重い体をひきずりながら、遅刻してでも学校にいけば、教室へ入りづらい、先生に叱られる、授業に集中できないなど、学校がどんどん行きにくい場所になってしまいます。
体がしんどいのに、周りが誰も理解してくれなければ、不安がどんどん大きくなり、とてもつらい環境です。
起立性調節障害は心身症の一つ、れっきとした体の病気であり、決して「怠け」などではありません。
周りの無理解によって心理的・社会的なストレスが大きく影響すると、起立性調節障害を悪化させる要因になってしまいます。
起立性調節障害かもしれないという子どもに対して、周りの人間が起立性調節障害の知識を持ち、つらさや不安を察知して安心させられる環境を作ることが、治療への第一歩です。
起立性調節障害治療の正しい知識と心構え
子どもが「起立性調節障害かもしれない」と思ったら、まず、親が病院に相談する勇気を持つことが大切です。
担当医から病気に関する正しい知識を受け取り、理解するところから起立性調節障害の治療は始まります。
■検査結果を今後に生かす
血圧や心拍数などの不調、午前中と夕方の検査で異なる結果が出るなど、起立性調節障害の検査結果について、医師から理論的な説明が行われます。
子どもの体の現況、病気に対する知識を正確に知ることで、今後の治療の成果が左右します。
■不調の原因を知る
自律神経バランスの不調、遺伝的な体質、成長期のホルモンバランスの乱れ、心理的・社会的ストレスなど、起立性調節障害発症の原因をしり、悪化させないようにします。
■治療について納得する
軽度の起立性調節障害では、周りの大人の理解によって子どもは安心し、特別な治療を行わなくても治ることがあります。
しかし、中等症・重症の場合では、薬物療養を用いてもすぐには改善されず、治療が長期間になるなど、気長に治していく根気が、本人にも周りの大人にも必要です。
まとめ
起立性調節障害の治療には、周りの大人の「病気の知識と理解」がとても重要です。
子どもが安心して治療できる環境を整えてあげるのも大人の役目。
体調不良と周囲の無理解によって、つらい思いをしている子どもを、早く安心させてあげましょう。