
起立性調節障害の症状には、いくつか「うつ病」と共通するものがあるため、医療機関によっては、身体的な問題は見当たらないとして、精神科や心療内科での受診を勧められることがあります。
ここでは、起立性調節障害とうつ病は、どういう点が違うのか、また、どのように判断すればよいのかを見ていきます。
起立性調節障害は精神的な病気ではありません。
起立性調節障害は現在、ほとんどの小児科で診断できます。
しかし、検査をしても身体的な問題がないために、医療機関によっては、精神的な面での治療を勧められることがあります。
実際に、近年のストレス社会では「うつ病」を発症する子どもも多く、精神科を受診する子どもも増加しています。
最近では、「児童精神科医」によって、起立性調節障害の知識も広まっていますが、まだまだ、子どもの病気については詳しくない医師もたくさんいるのが現実です。
起立性調節障害では、もしも間違った治療をしてしまうと、症状が悪化することもあります。
精神科の治療で症状が悪化した場合には、小児科でのセカンドオピニオンをおすすめします。
※SSRIは、起立性調節障害とうつ病を併発する子どもの治療に用いる事があります。
医療機関を受診しても、間違った治療でさらに重症化し、登校拒否や引きこもりになることがあります。
なかなか改善しない子どもの様子に悩み、うつ病になる母親も少なくありません。
起立性調節障害とうつ病の共通点と相違点
起立性調節障害とうつ病には、いくつかの共通点があります。
明らかな違いと共通点を見てみましょう。
【共通点】
- 夜なかなか寝付けない
- 朝、起きられない
- 午前中は気力がない
【相違点】
うつ病は、1日中気分が落ち込むが、起立性調節障害は夕方~夜にかけて活動的になる
午前中に診断を受けると、その様子から「うつ病」と診断されることもあります。
より正確なOD診断には、時間を変えて何度か診察することが必要となります。
うつ病診断の基準チェック
- 眠れない、もしくは眠りすぎる
- 気力がない、気分が落ち込む
- 意味なくイライラする
- 集中力がなくなった
- 自分に価値がないと感じる
- 全て自分のせいだと思い込む
■これらの症状は、起立性調節障害にもよく見られる症状ですが、気分的な落ち込みが1日中続くことは、ODではあまり見られません。
また、起立性調節障害の子どもが夜眠れないのは、体が活動的になっているためです。
- 趣味や好きなものへの興味・関心が無くなる
- うれしい、楽しい、よろこぶなどの感情が無くなる
- 著しい体重の増減
- 焦りや自暴自棄な気持ちになる
■起立性調節障害でも時々見られる症状で、身体的な症状が引き金になって、精神的に不安定になることがあります。
重症のケースでは、不登校や引きこもりなどの原因にも繋がります。
- 1日中、元気がなく気力が出ない
- いきなり涙ぐむことがある
- 焦燥感あり、イライラする
- 死について考えるようになる
■これらの症状は、ODではほとんど見られません。
ODでは、午前中は気力がなくても、夕方~夜にむけて回復します。
また、罪悪感や無価値観、死について考えるという症状は、うつ病特有の症状です。
まとめ
子どもをサポートしなければならない家族は、原因がわからなければ本人とは別のつらさがあります。
うつ病と共通点があっても、同じ治療によって悪化する可能性があるので、起立性調節障害についての知識がもっと医療機関に広まって欲しいと思います。