
テレビや新聞などでも、話題にならない日がないほど、社会問題になっている「いじめ問題」。
いじめは、子どもの心に大きなキズとストレスを与え、自律神経系に悪い影響を与えます。
ストレスから起立性調節障害を発症したり、悪化させたりする前に、子どもの心理的要因について考えていきましょう。
起立性調節障害の子どもの性格傾向とストレスの関係
起立性調節障害の子どもは、幼い頃から周りの人に対して気をつかい、自分の気持ちを素直に表現できない傾向があります。
いわゆる、周囲の人から「いい子」と言われるタイプです。
自分の感情を抑えて、周囲の期待に応えようと努力して、イヤなことにも「いや」「止めて」と言えません。
- 小さい頃から「いい子」と言われるタイプ
- 人のいうことや期待に合わせて行動する
- 自分の意思表示・わがままを言わない
人の成長過程には、「反抗期」があります。
それまで、周りの期待に応えて「いい子」だった子どもは、甘えたい欲求と、自分の意思を通そうとする反抗心の間で葛藤することになります。
幼い頃からストレスを溜め込んでいると、起立性調節障害を発症したことをきっかけに、一気に噴出することがあります。
親や先生からも病気への理解が得られないために、感情的になり、いさかいが増えてしまいます。
【起立性調節障害発症後の変化】
- 精神的に不安定になる
- 親や先生とのいさかいが増える
- 部屋に引きこもるようになる
心的ストレスが自律神経に与える影響
「起立性調節障害」は、自律神経のバランスが崩れる身体的な病気ですが、心理的要因からの影響が大きいことがわかっています。
心理的ストレスは、活動しようとする中枢神経に影響を与えて、自律神経のバランスを崩します。
また、血圧の変動に影響する脳の中枢神経(偏桃体)は、ストレスの影響を受けやすく、血圧の調整がうまくできなくなります。
心と体のバランスを保つためには、「脳」からの正しい指令が必要です。
しかし、その脳がストレスの影響を受けると、心身のバランスが崩れ、身体症状として現れます。
中枢神経が心理的なストレスを受けると、ホルモン分泌が適正に行われず、交感神経と副交感神経のバランスが崩れます。
自律神経が正常に働かないと、血圧を適正に維持できませんので、 起立性調節障害(起立性調節障害)を発症したり悪化したりします。
起立性調節障害の発症がいじめのターゲットに。
起立性調節障害を発症すると、朝起きられないので、遅刻や欠席を繰り返すようになります。
友だちとの交流が減ってしまいますから、残念ながら、いじめのターゲットになりやすいのは事実です。
また、「いじめ」という心的ストレスから、起立性調節障害を発症したり重症化させたりすることもあります。
いじめに遭っている子どもは、いじめられている事実や自分の辛い思いを、自ら親や先生に伝えることはありません。
周りの大人は、子どもの様子をよく観察して、何か危険なシグナルを感じた時には、すぐに対応できる体制を整えておく必要があります。
起立性調節障害の子どもは、いじめに遭っている可能性が高いことを、親も認識しておくべきだと思います。
まとめ
起立性調節障害が原因でいじめられる、いじめが原因で起立性調節障害を発症するなど、起立性調節障害は子どもの体だけではなく、心に傷を残し、社会的な居場所まで奪う可能性があります。
「怠けているだけ」と決めつける前に、子どものシグナルを受け取れる余裕が周りの大人にも必要です。